TRANSFORMERS:FACTORS episode:6 [異形の軍勢]
「零の世界、我が世界」
まるで黒く塗りつぶされた
星の光も、命の輝きも、全てが失われた闇の中
その声は今も響いている。
可能性、屈さない心の前に砕けた体
大きな穴が開き、飛び散った破片が
次第に黒の世界に慣れた視界に映しだされていく。
【星間帝王】
悪夢の巨神の巨体が黒の世界に横たわっている
決して消しきれない闇、この世界
...引いては全てのユニバースに
必ず存在し、全ての世界で同一である悪夢の姿。
「我が体よ、変質せよ。終わりではない、始まりの時だ」
砕けた巨体の腕や足、各部が命を持つように蠢く
そして、次の瞬間には人、獣、各々の輪郭を描き始める。
「邪魔な光は、闇で覆い尽くさねばならない」
無数の影の軍勢、その背後に2つの赤い点が浮かぶ。
輝きを持たぬそれは、星間帝王の瞳
あまりにも巨大な頭が、そこにはあり、無数の影はそれに従う
巨大な角を持つ者、怪魚の姿を持つ者、プライムのような姿をした者
数えきれない程の闇の化身が、その頭を見上げ
次々と膝をつき、忠誠を示す
「零の世界を破壊せよ、この世界に我以外は必要ない」
一瞬、裂くような気配が突き抜ける
それが星間帝王の声であると、頭が理解する頃には
無数の異形達の声とも地響きとも付かない怒号が続き
地面は揺れ、黒い世界が次第に異様な気配の元、色を得ていく
最早それは、存在するだけで彼らが破壊を産む事を
その身に直に、刻みつけてくれる。
浮かび上がった軍勢は、正に地獄を絵に描いたような
それはもう、恐怖すらも忘れる程の圧倒で、感覚を飲み込む。
「征け、この宇宙を壊せ」
闇の帯がゼロ・ユニバースの宇宙全体へ伸びていく
それは誰にも気付かれぬまま、始まり、蝕んでゆく病
本来この世界には存在しないはずの悪魔は
存在しなかったのではない
悪魔に至るまでの憎悪、破壊を経験しないまま
「この世界の」歴史では打ち倒されただけだったのだ
無数の世界を超え、強くなったのは光だけではない
無数の世界で、幾度と無く光の前に消え去り
そのたびに影は色を濃く、憎しみという闇に染めた。
奴の名は星間帝王、かつてデスキングと呼ばれ
幾多のユニバースをめぐり「ユニクロン」と呼ばれた悪夢
彼が生まれた世界に戻った時
この世界は史上最大の力を目の当たりにする
闇の軍勢はもう、この世界の至る闇に潜んでいるのだ。
「我が復活の時も近い、今度こそ...光は潰える」
闇と光、常に互いに存在する者
無限の光は影を消し去ることが出来る
だが、強すぎる闇も同様に
光を蝕み、飲み込むことが出来るのだ。
幾度とない戦いの中で、無数の宇宙が呑み込まれた
全ては異形の掌の上
だが、この宇宙にはこの軍勢に気付く者達が居る。
故に未来は未だ見えない。
故に光と闇は今は均等。良くも悪くも変わるのだ。