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それから数日経った頃、再装填社には、珍しく依頼人の姿があった
今回は表向きではない仕事、何日...いや、何週間ぶりだろうか

そろそろ暑くなるというのに、丈の長いスーツのような服装に
シルクハット、そしてなにか黒い硬い素材で出来たマスク
目はサングラスで隠された「見るからに怪しい老人」が今回の依頼人だ

「で、今回はどのようなご依頼で?猫探しから宇宙人退治までやっておりますが...」

様子を伺うように、口調と視線はあくまで通常のまま
桃源は必死に相手の特徴をつかもうと様子を伺う

「ほほう...おっといけない、失礼でしたな。マスクを外さねば」

桃源の隠しきれない疑いの動作を察知したのか老人はマスクとサングラスを外し、その顔を見せる
普通の人間、だが、スラっと伸びた背が高くスタイルのいい見た目からは想像もできないほど
明らかに老いた表情、しかもその老い方には何か違和感が感じられる

しかしその違和感が何かまでは、辿りつける程の情報は手元にはない
今言えるのは、明らかに何かが変である事、それだけだ。

「これは御丁寧に。失礼ながら、なにか隠さなければいけない理由があるのかと思いましたよ」

疑問は先延ばしにすればするほど聞き難く、答えも得られない
桃源は疑問は何でも即座に聞いてしまうタイプであり
今回も依頼人として扱いは丁寧だがある程度は怪しみ
相手の動向を全て探り、聞き出せる事は全て言わせようとしている

「怖い思いをさせましたかな?いや何、外に出るのは久しぶりだったものでね、
久しぶりの明るい昼の光では目がどうもやられてしまうんだよ、喉も同様でね、外の空気について行けない」

答え得られた解答は実にその見た目相応なものであった
なるほど、ちょいとオシャレなハイカラじいさん...と言う事らしい
しかし、そんな人間が、依頼に来るだろうか?

「なるほど、そういう事でしたか...して、ご依頼は?」

もしや、ついに表向きの看板であるデザインの依頼であろうか
一瞬、桃源の頭に非常に自分的には楽観的な考えが浮かぶ

しかし、目前で急に真面目な表情を浮かべた老人から出た言葉は
過去最も強烈な依頼であり、大きな事件の桃源の側からの始まりの合図でもあった

「ええ、息子達を...怪物化する彼等を私共々殺して欲しいのです」

数秒前に戻ってこの老人の口を塞いでしまいたい
大体の依頼で思う考えではあるが今回は強烈さに磨きがかかっている

まず「殺人」の依頼であり、明らかに専門外だ、そんなものはマフィアにでも頼んで欲しい
しかしその前に「怪物」と付いている、エイリアンやミュータントであるならば
これは専門に入る、よってこの依頼は「家でしか受けられない類の依頼」だ

「警察か何かから家の事を..聞いたんですか?確かに解決こそしていますが
その実績はほとんど...ほら今話題の変神様が偶然いてくれたからであって」

シュリョーンの正体は誰にも知られていない
だが事件に関与している以上、何らかの関連性があると見ている人間がいるのも確かだ
それなら合点がいくと桃源が納得しかけた瞬間
老人の口から出たのは、想定外の一言だった

「何をおっしゃるのか...貴方でしょう?あの魔神は、滲み出るオーラの色でわかりますよ」

この人は...コイツは何を言っているのか
亜空間に干渉できる人間は4人しか存在しない
その全てが仲間である状態で、正体が解るはずなどないのだ

変身解除にしても、亜空の扉を抜ける最中に行なわれる以上、”外からは見えない”
即ち、桃源=シュリョーンを決定付けるものなど人間には見つけられないのだ

...では当てずっぽうか?
しかし、そういう具合の表情ではない
では...この老人もエイリアンの類か、そう考えれば初見での違和感も伺える

今にして見れば、生きている人間であるのにまるで愛されない人形のように表情が硬い
生命感というものがないから”どこかがおかしい”と感じさせていたのだ

「...それにはいとは言えませんが、そうであったとして...目的はこの命ではない。
まして貴方やその仲間を殺せというのは...一体何故でしょう?」

表情は変えず、あくまで冷静に老人に問いかける
通常であれば仲間を殺す悪であるシュリョーンは「倒すべき存在」
自分を含めた同属を排除する依頼などするはずがない、有り得ない話である

「最初はそう思っていましたよ、しかしね...我が息子達を貴方なら救えるかもしれない
そう思ったのですよ、黒く禍々しいバケモノに変わってしまうあの子達を、私のようにはしないで済むと」

悲しげな表情を浮かべる老人が言う「息子達」「黒いバケモノ」
それらの意味は解らなかったが、彼がヒーポクリシーに関与している何者かであり
その状況を抜け出したいと考えているのは何となく把握できる...が、信じ難い

「信じろ、というには少々強引ですね...貴方はエイリアンに改造された...とでも言うのでしょうか?」

眉をひそめた老人が、出された珈琲を軽く飲むと
静かに...しかし、重い口調でその正体を、その歴史を語り始める
それは疑う事も出来ぬほど、暗く沈んだ彼らの歴史

彼等が行く場のない者達であること
エイリアンに唆されて自由の代わりに異形となったこと
それを今でも繰り返していたこと、そしてそのエイリアンからシュリョーンの情報は得ている事

「...我々は、生きるために怪物になったのです、しかし彼等は..息子達はそれを知らない。
今まではエイリアンの定期的なメンテナンスを受ければ隠し通せましたが、そのエイリアンが消えたのです」

大体は把握が出来た、彼等は改造された異形
そして、彼等は人間の姿はもう実際には持っておらず
人間の姿に「変身」しているのだ、それが出来なくなったら、異形の姿となり
精神も安定しない、単なる化物へと変貌する...何らかの目的があっての時限装置

そんな印象を受ける、人間を使った改造兵器とでも言った扱いなのだろうか

「消えた...そのエイリアン、もしやギーゼン等と名乗っていませんでしたか?無駄に巨大な風貌で」

そして話の流れで聞く、協力してくれていたエイリアンと言うのが
どう聞いても先日打ち倒したギーゼンに酷似している
だとすれば、この脆い平穏を壊したのは桃源であり、この件には協力しない訳には行かない
だが、その結末が「バランスを崩した異形の子供を殺す」では幕締めとしてあまりに酷い話ではある

「ええ、そうです...ご存知、と言う事は彼は死んだのですか...」

素性を知られている以上、そのエイリアンを知っていると言う事は「それを倒した」と言う事実に繋がる
倒さねばならぬ敵が産んだ思わぬ世界でのバランスの崩れ
本来であれば倒すべき存在の「日常」が見えると、例えそれが歪であっても
感情は少し、そちらに傾く...いくら名目上は悪とはいえ、感情がないわけではない
思考の外面ではそれらをあくまで敵と判断してはいても、内では気が引けるのは確かだ

「死んだか...は不明ですがおそらくは、しかし人間に慈悲を与えるような存在では無かった
...地球人を使った実験か、それとも侵略の道具にされていた、その可能性は高いでしょう」

短い時間に描かれた壮絶なまでの彼等の歴史
人あらざる者になった異形達は過去にもいたが、それらは欲のために自ら望んで変貌していた
普通以上を得られるから、そんな奴等ばかりだった
しかし彼等はどうだろうか、普通以下の体がやっと普通になって、それに毛が生えた程度の能力
その代償が「異星人の手先の改造人形」であり、最終的には狂い死ぬのだ

人間が統治をする世の中でも差別や階級と言うものは意思を持ち行動する以上
どんなに頑張っても少なからず生まれ、その関係が次第に軋轢を生む
そんな人間に突き放された者たちが、今度は異星人に好きなように蹂躙される
それも、本人達には結末を知らせぬまま、何も知らないままに美しい未来だけを見せて

「だが、私には彼は子供が好きなように見えた...それすらも間違いだったのでしょうか
確かにメンテナンスを受けなければ息子達は暴れまわる黒い骨の怪物になるのは間違いありませんが..
仰る通り道具にされていたのでしょうか...」

厳しい表情を浮かべた老人からは「彼等を殺す」などという言葉が出るとは思えないほど
厳しく、そして辛い思いを感じさせる空気が漂っている
だからこそ「自分も含めて」、全滅を望んでいるのだろう。

100%信用出来るとは思えない、しかし半分程度は..少なくとも語られた歴史は本当であるのだろう
そして、この状況を打破できるのは間違いなく、世界を探してもシュリョーン達亜空戦士しかいない
今、現状で解る事はそれ程度である、協力するかしないか、この状況であればその答えは「協力する」になるが
あくまで気を抜けない、目前の老人は「完全には信用してはいけない」

「その息子さん達を、そしてあなた自身も救う方法が...時間はありませんが探せばあるはずです、まだ諦めるには早い
我々の所に来たということは、それが望みでしょう?それにこの件は俺にも協力する理由がある」

そう言うと桃源は、席を立ち身支度を始める
用意された時間は短い、暴走してしまえば老人の言葉通り
彼の息子達を生きたまま助けることは難しくなる
そうなる前に、出来る限り早く事を終えなければならない

「しかし、今から解決策を探しても...何か策があるというのですか!?」

驚いたような表情で老人が桃源に問いかける
策があるのならば彼も何かしら行動している、しかし、そんなものは無かった
だからこそ此処に「全滅」を求め来たのだが、今話を聞いた人間に解決策が見いだせるとは流石に思えず
当然そんな想定もしていない、驚いたまま老人はその場で動きを止める

「なに、こちらには貴重な協力者がいますから...イツワ、ちょいと来てくれー」

桃源が外の庭と言うには狭い窓の向こうのスペースに向かって声を掛ける
その声に気がついたのかガサガサと音を立てて
13〜4歳と言ったところだろうか、ラフな姿だが無駄に整った顔の少女が現れる

「おう、なんじゃ桃源...おっとお客人か、これはどうも」

老人にはイツワの持つ幻惑のオーラが効果している
イツワのこの能力が効かないのは亜空間と干渉し「別世界の人間になった」者だけであり
桃源達も亜空間での視界を得るためのコンタクトレンズやメガネを付けていなければ
彼女は至って普通の人間に見える、それもとびっきりの美少女に

「ん〜...っとまぁ、聞きにくいんだけど、またイツワの故郷の話。十何年も前から地球で活動してて
障害のある子供を改造して体を与える代わりに、彼等を兵士にするのが目的だったようだが...って話」

普通に考えれば彼女の生まれ故郷であり
それが彼女に隠して行っていた侵略行為など、聞きたくも聞かれたくも無い
そんな、言わばタブーに近い話題だが、今、地球上で最も答えに近いのは彼女だ

「またか、困ったものじゃ。しかもそんな昔からとな?...おいおい、そう気にするなと言っておるだろう。
...して、そこのご老人がそうなのか?言われてみればどうやら人ではないようじゃが」

イツワが老人の方を見ると老人は険しい表情を浮かべている
桃源には解らなかったが、彼女には老人の正体が見えているらしい

その反応を見てイツワも、何処か信用ならないと思っているのか
桃源も先程までとは明らかに違う反応に、やはり何か信用ならない気持ちを抱く
しかし、ある意味ではこの状況を招いた当事者である二人にとっては
この依頼は断りにくいのも確かであり、見過ごせない部分も多い

「まぁ、とりあえずはこのご依頼お受けします、改めて解決策をある程度見つけてから
そちらに伺いますから、それまでに何かあったら連絡をお願いします」

これ以上イツワが何かを口走っても問題があると判断した桃源は
依頼を受けることを承諾した上で、一度この場のリセットを試みる
一旦考えた上で、黒い怪物と化す子供達を救う方法を考えねばならないのだ

「...あっ、ええ、ありがとうございます。何やら空気を悪くしたようで申し訳ない」

桃源の言葉を聞き、この場はお開きと判断した老人がスっと立ち上がり
殻になったカップを綺麗に整えると、身支度を始める
その表情は先程までとは違い、最初と同じ穏やかなものである

「いえいえ、こちらこそ申し訳ない...ほら、イツワも謝っときなさい」

軽く頭を叩く...と言うよりは軽く添えるように押されて
自分がなにかまずいこと言ったのかも分からないままイツワも頭を下げる

「とんでもない、よい策をお待ちしています、あなた達だけが最後の頼りですから」

既に最初と同じ出で立ちに戻った老人がゆっくりと歩きながら語りかける
桃源がドアを開けると、軽く頭を下げ、老人は来た道を戻り始める
それを見て、イツワも手を振って見送るがどうも違和感が消えないらしく
表情は何かを疑うようなものになっており、また桃源に注意される

「あっそうだ...悪かったな、急に故郷の事なんて聞いて」

道の向こうに遠く消えた老人を見送り終える頃
桃源はイツワに先程の唐突な、しかもあまり答えたくないような質問をした事を詫びる
頭に添えられた手は、イツワの頭脳を保護するドームを包んでいる

「ふふっ別に良いと言っておるだろうに、それよりあの老人...どうも信用ならないようじゃが」

桃源の手を持ち上げ、そのままの姿勢でイツワが続ける
彼女が感じた異質さはその内にある異形の姿を感じたからか...

「確かに雰囲気からして異質だったが、話している最中は本当に辛そうだった
...だけど、イツワを見る目は怖かったしな、どうにも解らん」

桃源が感じた違和感はその外に溢れ出る違和感
即ち、あの老人は内にも外にも何処かしら怪しさはあるのだ

「まぁ、ある程度の最悪な状況は想定して、今回も調査と行き...たいが今日はもう遅いな
明日、イツワはとりあえずアキさんのところに行ってくれるか?いい道具があるかもしれない」

改造されているとはいえ、通常では暴走しない
まして異形の姿にもならないとすれば、その引き金が存在するはずである
何かしらの洗脳やスイッチが有るのだとすればそれを破壊出来れば、とりあえずは現状を維持出来る

そのためには発生源やそれを起こす材質や電波などの類の判別と
それに合わせた対抗が必要だが、それ以前にそれを頒布する広範囲で機能する装置が必要となるだろう

「アキ?...あぁお前達の一番偉いダイシュリョーとかいう奴じゃな、よし解ったが、明日か...
では今日は休むとしよう..で、今日食事は何かの?桃源の料理は美味いからのぉ」

既に何日かこの事務所で生活しているイツワだが
異星人とは思えぬほど馴染んでいる、これが彼女のオーラの仕業かは分からないが
長らく華やかさの薄れた再装填社の事務所には久しぶりに賑やかな声が響いている

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翌朝、早速調査に取り掛かる準備を始める桃源は
娯楽に一通りの事情を話すと、既に似たような怪物と交戦した事実を知る

アキの元にサンプルを送り解析が進んでいるという話を聞くと
イツワをアキの元へ向かわせる準備を始めるのであった

「んじゃ、イツワ。アキさんの所に行って暴走を止める装置を貰ってきてくれ
道案内は...この通信端末とヨービーがしてくれる、大丈夫か?」

イツワはまだアキとは面識がない、持論住んでいる場所も知らないが
逆にアキは彼女のことは既に詳細にデータを得て知っている
要するに会えばなんとかなる...はずだ。

「うむ、問題ない...しかしコイツは元気じゃのぉ」

桃源が地図と小さい端末装置を取り出すとそれをイツワの方にくくりつける
現在位置を判断し道案内をしてくれる携帯装置
これがあればイツワでも容易にたどり着くことができるだろう

「着いたら無駄にでかい洋館があるから中に入っていけば会える。
あっそうだ、歩きじゃ大変だから...そこに止めてある自転車使っていいぞ〜」

流石に見た目は14歳程度の彼女に免許のいる乗り物を勧めるわけにも行かず
一番手軽な自転車が彼女には最適であろうと勧めてみる
乗った事はあるようだから運転の心配もないだろう

「おおっそうか、では行ってくる...桃源お前も気を付けるのじゃぞ、どうせ一人で行く気じゃろ?」

ドアを開けて出ようとしたイツワが、思い出したように桃源に問いかける
その質問は正に図星である、取り敢えず出来ることは独りでやってみる
付き合いがまだ短いイツワでも解るほど、ある意味で単純な自己規律なのかもしれない

「だから、面倒事をたのんだのよ〜...良いところで最高の助けを待ってるよ」

「ふん、困った奴じゃ。任せておけい...では行ってくるぞ〜」

少し下り坂になった事務所の前の通りをイツワの乗った自転車が駆け抜けて行く
遠くなるその後姿を見つめつつ、桃源もまた別の場所へと足を進める
それは誰もが忘れた裏の街、ある意味悪役には最適な場所かもしれない

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アキの屋敷へ向かうイツワが自転車を猛スピードで走らせる最中
見覚えのある後ろ姿が前を歩いているのが目に入った

普通であれば気がつかないだろうが
イツワは人間の数倍感覚が鋭くオーラなど無数にも見えている
人を見分けて大勢の人の中から知り合いを見つけ出すのも容易だ

「あの気配、間違いなく娯楽じゃな..お〜い!そこ行く良き男〜!!」

良く考えずに声をかけたが、イツワの行動は割と本能的である
声をかけられる側はその行動を予期しているはずも無く、唐突に呼び止められた後ろ姿がビクッと反応する

振り返ると当然ながら娯楽であり、イツワはその横に猛スピードで駆け寄ると
覚えたばかりの地球流の挨拶、手を平らに伸ばし軽く振るい「ヨッ」と挨拶をする

「よぉ...じゃなく、変な呼び止め方には驚きましたな。して、なんでこんな所にお姫様がおられるので?」

街中を歩いて、世界を見て回っているとは聞いていたが
まさか自転車に乗って一星のお姫様が現れるとは想像だにしなかった
流石に冷静さを保つ娯楽も、若干の同様の表情を見せる、戦闘であってもほぼ無い貴重な事象である

「今日は桃源に頼まれ事を一つ預かっているのじゃ、で、この礎アキという人の家に行きたいのじゃが...」

道は解っているが如何せん地の利が無いイツワは勢いで飛び出したは良いが
少々不安になってきたのか、娯楽の様子を伺うように言葉を続ける

「なるほど、丁度私も大首領...アキさんの所に行くところですから、どうせならご一緒しましょう姫君」

そう言うと娯楽はまるで執事でもあるかのように手を差し出すと
イツワも少し戸惑ったがその手をとる、が、自転車に乗ったままだったため
バランスを崩し、娯楽に寄りかかり抱きつくような状態になってしまう

「おっわっ...ちょ...とっ、すまぬ、自転車に乗っているのを忘れておった」

「いえ、構いませんよ...さぁお立ちになって、自転車は私が預かりましょう」

崩れ落ちたイツワを娯楽が受け止めると、軽々と姿勢を立て直し
反動を利用してまるで最初から普通に自転車から降りたかのようにその場に立ち
回転するように移動して自転車は娯楽の側にいつの間にか移っている
まるで魔法のような動きに、イツワは瞳を輝かせて思わず「おおっ」と声を上げる

「流石はもう一人の戦士じゃの、その動き素晴らしいぞ!気に入った!」

娯楽の手を握ったままの状態で高くその手をあげると
イツワがニッと笑顔を見せる、娯楽も同様に不敵な笑みを見せるが
どうやら彼等は非常に相性が良いらしい、ウマが合うと言うべきか

「さて、急がないと日が暮れますよお姫様、もうすぐですから急ぎましょう」

軽くイツワの背中を押すと、二人は足早にアキの邸宅へと向かう
少々時間をとったが、話の本題はアキの元へ行かねば始まらないのだ

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