TRANSFORMERS:FACTORS episode:0 [序章]
無がある。
音も無く、感触もなく、何も存在しない無。
そこには無が無限に広がっている
この世界こそが、赤い巨神の領地である。
この世界の中で彼だけが有である、そう見える。
彼は時を司る。
すべてのユニバースに通じ、介入する事が出来る。
ある者は彼を神と呼び、ある者は彼を原初の存在と呼んだ
何もかも遠い昔の話であって、同時に未来でもある。
「また、災が芽吹いている」
無であった世界に彼の姿だけが浮かぶ
刹那に現れた...否、常に存在していた。
あまりに大きい体は、夢幻の無の中に
まるで響くように気配の波紋を広げてゆく。
「有るべき未来を歪める者、それを砕く者」
赤い巨神が大きく手を広げると、波動は強く広がり
次の瞬間には巨神の胸が開き、輝きを放つ。
「常に悪意は求めずとも産まれる」
胸の奥から放つ輝きが遥か彼方を照らす
まるで道を示すように、ぶれ迷うこと無く一線に
「だが、光...希望は選び求めねば産まれる事は無い」
光の方へ、その巨大な腕が伸び
その先に見える、一つの世界へ手を翳す
「目覚めよ、零の現世界に得ぬ希望よ...世界を変える要因となれ」
指の先にある世界、ユニバース・ゼロ。
全ての始まりがあり、同時に全てが存在しない
彼等...超生命体が本来知り得ない世界
「災いは禁忌に触れるだろう。その時、君は目覚める」
零の世界に一筋の流れ星が駆け抜けた。
ミクロマン、アクロイヤー...彼等がいる世界に。
落とされた可能性、無限の輝きは今何処にいるのだろう。
その世界その物を揺るがす危機に伏した時
それは希望となって輝く、それは既にこの世界にいて
どんな悪夢の中にいても、何よりも強く輝いているであろう。